歯の矯正、矯正歯科とは?メリットデメリットは?注意点は?
院長の千秋です。今回は歯の矯正について簡潔にお話しします。
歯の矯正とは、生まれつきの歯並びの乱れ(叢生)や、成長過程での歯の移動によって起こる咬み合わせの悪さ、受け口(反対咬合)や出っ歯(上顎前突)等いわゆる「不正咬合」を治す歯科治療のことです。歯や顎の骨に力を加え、歯を少しずつ動かして理想的な位置に整えていきます。
矯正治療が必要な理由
- 見た目の改善(審美性): 歯並びが整うことで、見た目がよくなり自信を持って笑顔になれるようになります。
- 口腔機能の改善: 咬み合わせが良くなることで、食べ物が咬みやすくなり、食事がしやすくまた消化機能も向上します。
- 発音の改善: 歯並びの乱れ等が原因で発音不明瞭な場合や話しにくい等がある場合、矯正治療で改善されることがあります。
- 歯周病・歯肉炎予防: 歯並びが悪いと歯ブラシが歯にあてずらくなり、歯磨きがしにくく、歯周病や歯肉炎になりやすくなります。矯正治療で歯並びが改善されれば、歯周病・歯肉炎予防にもつながっていきます。
- 顎関節症予防: 咬み合わせの悪さが原因で顎関節症を引き起こすことがあります。矯正治療で咬み合わせを改善することで、顎関節症の予防や改善が期待できる可能性があります。
矯正治療の種類について
矯正治療には、大きく分けて以下の4種類があります。
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固定式矯正
マルチブラケット矯正: 歯にマルチブラケットと呼ばれる装置を1歯ずつ接着し、ワイヤーで歯を動かす治療法です。最も一般的な矯正方法で、効果が高いですが、治療期間が長くなる傾向があります。
リンガル矯正: ブラケットを歯の裏側に付けるため、見た目が気にならないのがです。
歯の裏側に装置を接着し、ワイヤー等を調節するため治療がかなり難しく、治療期間が長くなり、また費用が高額になる傾向があります。
セルフライゲーションブラケット: ブラケットとワイヤーを直接固定するタイプで、従来のブラケットに比べて摩擦が少なく、歯の動きがスムーズで歯が動きやすい特徴があります。従来のマルチブラケットと比較して痛みも少なく、治療期間も短くなる場合もあります。
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取り外し式矯正
マウスピース矯正: 透明なマウスピース型の装置を装着する治療法です。目立ちにくいため、審美性を重視する方におすすめです。ただし、固定式矯正に比べて治療期間が長くなる場合や、すべてのケースに対応できるわけではありません。長時間口腔内に入れなければ効果が発揮できないので治療を成功させるためには患者様の管理協力が必要かつ重要となります。
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機能的矯正
顎口腔機能療法(MFT): 舌や唇の悪い癖を改善し、歯並びや噛み合わせを改善する治療法です。
拡大装置: 顎の骨を広げることで、歯並びを整える治療法です。
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外科矯正
顎骨手術: 上下顎骨(骨格)の位置関係が原因で歯の移動だけでは改善できないような重度の不正咬合に対して、顎の骨を手術で切断し、歯の位置を調整する治療法です。
矯正治療の流れについて
- 相談: 患者様の主訴(気になるところ)を歯科医に相談します。
- 検査(資料採取):矯正診断を行うために歯の型取りや咬み合わせ取り、レントゲン撮影、口腔内写真撮影などを行います。
- 診断: 資料採取した検査結果に基づいて、患者様に不正咬合の原因や治療方針を説明し治療計画を立案します。
- 治療開始: 診断結果に基づいて患者様の同意が得られてから歯を抜いたり、装置の装着を行い、定期的に歯科医院に通院して調整を行います。
- 保定: 治療終了後、歯が元の位置に戻らないよう(後戻り)に、保定装置(リテーナー)を装着します。
上記が簡単な説明ではありますが矯正治療の一連の流れになります。
矯正治療のメリット・デメリットについて
メリット
- 見た目の改善(審美性): 歯並びがきれいになり、自信を持って笑顔になれる。
- 口腔機能の改善: 咬み合わせがよくなることで食事がしやすくなり、消化機能が向上する。
- 発音の改善: 発音不明瞭について歯並びが原因であれば発音が明瞭になる可能性がある。
- 歯周病・歯肉炎予防: 歯磨きがしやすくなり、歯周病・歯肉炎になりにくくなる。
- 顎関節症予防・軽減:歯並びが原因であれば 顎関節症の予防や改善が期待できる可能性がある。
デメリット
- 治療期間が長い: 数カ月から数年かかる場合がある。
- 費用が高い: 保険適用外のため、全額自己負担となる。外科矯正は一部保険適応あり
- 軽い痛みや不快感: 個人差はありますが装置装着初期やワイヤー調節等で軽い痛みや違和感を感じる場合が多々ある。
- 食事制限: 装置が外れたり、壊れたりする可能性があるので硬いものや粘着性の高いものは避ける。
- 話しずらい、発音が変化する: 装置装着初期に話しずらかったり、発音が変化する場合がある。
矯正治療の最新トレンド
- マウスピース矯正の進化: より複雑な歯並びの治療に対応できるようになり、治療期間の短縮も期待されています。
- デジタル技術の活用: 3DシミュレーションやAIなど、デジタル技術の進歩と活用することで、より正確な診断と治療計画が可能になってきました。
- 歯周病治療との連携: 矯正治療と歯周病治療を同時に行うことで、より効果的な治療が期待できます。
矯正治療を受ける際の注意点
- 歯科医選び: 矯正治療は、専門的な治療であるため、経験豊富な歯科医を選びましょう。
- 治療期間: 治療期間は、難症例や個人差があるので、事前に歯科医に説明を受けましょう。
- 費用: 治療費用は、症例や歯科医院によって異なりますので、複数の歯科医院で比較検討しましょう。
- 痛み: 痛みや不具合を感じた場合は、歯科医に相談しましょう。
- 保定: 後戻り防止のため、歯科医に指示された保定期間はしっかりと守りましょう。
【補足】
矯正治療は、患者様の歯並びの状態や治療計画によって、治療内容や費用が大きく異なります。この記事は一般的な情報であり、個々のケースに当てはまるものではありません。治療を受ける際には、必ず歯科医にご相談ください。
【その他】
矯正治療に関する情報は、日本矯正歯科学会のホームページでも詳しく紹介されています。
まとめ
歯の矯正は、歯並びや咬み合わせを改善し、より快適な生活を送るためのすばらしい治療法です。小児だけでなく大人も治療が受けられます。治療を受けるかどうか長年迷っている方は、是非一度歯科医に相談することをおすすめします。もちろん当院でも可能です。
この文章が、歯の矯正についてより深く理解するためのきっかけになれば幸いです。
宜しくお願い致します。
院長 千秋