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歯周病の治療について

2025年5月28日

院長の千秋です。今回は歯周病の治療について説明させて頂きます。

歯周病とは、歯を支える歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)に炎症が起きる病気であり(特異性炎)、歯周病が進行すると歯が抜け落ち国民病とも言われている炎症性の疾患です。自覚症状が少ないまま進行するため、気づいた時にはかなり悪化しているケースも少なくありません。成人の80%が罹患しており、生活習慣病の一種としても位置づけられています。歯周病の原因は主に、歯垢(プラーク)中の細菌であり、さらに喫煙、ストレス、糖尿病、遺伝的要因などが関与します。

しかし、適切な治療と継続的なケアによって、その進行を止め、健康な口腔状態を維持することが可能です。以下に歯周病の診断・治療法について説明します。

歯周病の診断

歯周病の治療を開始する前に、正確な診断が重要不可欠です。診断は、問診、視診、歯周ポケット検査、レントゲン検査などを総合的に行い、診断します。

1.問診: 患者様の自覚症状(歯肉からの出血、腫れ、口臭など)、既往歴、喫煙習慣、全身疾患(糖尿病など)について詳しく聞き取ります。これらは歯周病の進行や治療に大きく影響するため、非常に重要です。
2.視診: 歯肉の発赤、腫脹、炎症、退縮の有無、プラークや歯石の付着状況、歯の動揺の有無などを確認します。
3.歯周ポケット検査: ポケットプローブと呼ばれる器具を用いて、歯と歯肉の境目にある溝(歯周ポケット)の深さを測定します。健康な歯肉では2~3mm程度ですが、歯周病が進行すると深くなります。出血の有無や排膿の有無も確認します。
4.レントゲン検査: レントゲンから歯槽骨の吸収度合いや、歯の歯根の状態、歯石の付着状況などを確認します。骨の喪失破壊は歯周病の重症度を判断する上で不可欠です。
5.口腔内写真撮影: 歯肉の腫れや下がりを確認し治療前後の比較や、患者様に説明するために口腔内写真を撮影する場合もあります。

上記の総合的な検査結果に基づき、歯周病の進行度(軽度、中等度、重度)を診断し、それぞれの患者様に適した最善な治療計画を立案します。

歯周病の治療法

歯周病の治療は、非外科的治療(歯周初期基本治療)と外科的治療に区別されます。多くの場合、まずは非外科的治療から開始し、効果が不十分な場合や、より歯周病が進行したケースに対して外科的治療を検討します。

1. 非外科的治療(歯周初期基本治療)

非外科的治療は、歯周病の原因であるプラーク(歯垢)と歯石を除去し、口腔衛生状態を改善することを目的とします。

プラークコントロール指導

・TBI(Tooth Brushing Instruction:歯磨き指導): 歯周病治療において基本的かつ一番重要なものであり、患者様自身が日常的に実践するセルフケアの質が治療効果を著しく大きく左右します。歯肉炎、早期発症型歯周炎、成人性歯周炎の場合において、もっとも影響を及ぼす局所因子の除去、すなわちプラークコントロールから始まります。歯科衛生士が、患者一人ひとりの口腔内の状態や歯並びに合わせて、適切な歯ブラシの選択、歯の正しい歯磨き方法(スクラッピング法、スティルマン法、バス法など)、デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシ等の効果的な使い方を親切に指導します。特に、歯周ポケット内部や歯と歯の間のプラークを効率的に除去する方法を指導します。染め出し液を用いて磨き残しを確認することで、患者様のモチベーションを引きだし理解を深めることが重要です。
・食生活指導: 糖分の多い食事や間食はプラークの形成を促進するため、バランスの取れた食生活や規則正しい食事時間が取れるように指導します。
・禁煙指導: 喫煙は歯周病の最大の危険因子であり、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、血管収縮作用を引き起こし、歯肉の血流を悪化させ、免疫応答を低下させ、治療効果を著しく阻害させます。そのため、禁煙の重要性を強調し、必要に応じて禁煙補助具や禁煙外来の紹介を行うこともあります。

スケーリング(歯石除去)

スケーラーと呼ばれる専用の器具(超音波スケーラーやエアスケーラー、ハンドスケーラー等)を用いて、歯冠や歯根表面に付着した歯石(歯肉縁上歯石)を効率的に除去し歯周組織の炎症を改善する処置です。歯石はプラークが石灰化したもので、表面がザラザラしています。超音波スケーラーは振動によって歯石を粉砕し、水流で洗い流します。ハンドスケーラーは、主に機械が入りにくくてとれない細かい部分の歯石や、歯肉縁下の歯石を除去するために使用されます。

ルートプレーニング(歯根面滑沢化、SRP)

歯周ポケットの奥深くにある(歯肉縁下)歯根面に付着した硬い歯石や、細菌に感染した壊死セメント質を一層除去し、滑沢な硬い歯根面を得てプラークの再沈着を抑制する処置です。ルートプレーニングによって、歯肉が歯根面にしっかりと再付着しやすくなり、歯周ポケットの深さを減少させることができます。歯周ポケットが深い場合は、歯肉に麻酔をして、主に鋭匙型の手用スケーラーを使用して除去する場合があります。

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)

PMTCは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略称で、歯科医院で行う専門的な歯のクリーニング(専門的機械歯面清掃)です。日常の歯磨きでは取り切れない歯石やステイン(外来着色物)、バイオフィルムを歯科衛生士が専用の機器や薬剤を用いて、歯の表面や歯周ポケット内の汚れを徹底的に除去し、う蝕や歯周病になりにくい口腔内環境を整え、研磨ペーストやフッ素配合のペーストを用いて、歯面をツルツルに磨き上げることで、プラークの再付着を抑制します。

抗菌薬の使用

重度の歯周炎や、特定の細菌感染が疑われる場合や難治性のケースでは、補助的に抗菌薬(内服薬や局所的に歯周ポケット内に注入するタイプ)が処方されることがあります。しかし、抗菌薬はあくまで一次しのぎの場合があり、また補助的な治療であり、基本となるプラークコントロールを徹底することと定期的な歯石除去が最も重要となります。

これらの歯周初期基本治療を行うことで、軽度から中等度の歯周病の改善が多く見られます。治療後、歯周ポケットの深さの改善、出血の減少、排膿の有無、歯の動揺、歯肉の引き締まりなどが確認されます。しかし、改善が見られない場合やより進行した部位に対しては、再評価を行い、外科的治療が検討されます。

2. 外科的治療

歯周初期基本治療で改善が見られない、あるいは歯周ポケットが深く、歯槽骨の破壊が大きい場合に適用されます。外科的治療の目的は、歯周病原因因子を除去し、深くなった歯周ポケットを除去改善し、骨の形態を修正し、失われた組織を再生させることです。

歯周外科手術(フラップ手術)

歯周ポケットが深く、ルートプレーニングだけでは歯石や感染組織を完全に除去できない場合に行われます。歯肉を切開して剥離し、歯根面や歯槽骨を直視確認し、その後、残存する歯石や不良肉芽、壊死セメント質や炎症性の組織を徹底的に除去し、必要に応じて骨の形態を修正します(歯槽骨整形術)。最後に歯肉を元の位置に戻して縫合します。この手術によって、歯周ポケットを浅くし、プラークコントロールしやすい環境を整えます。

歯周組織再生療法

歯周病によって破壊された歯槽骨や歯根膜、セメント質といった歯周組織を再生させることを目的とした治療法です。
主に行われている例を下記に記しておきます。

・ GTR法(Guided Tissue Regeneration:組織誘導再生法)
・エムドゲイン®ゲルを用いた再生療法
・FGF-2(塩基性線維芽細胞増殖因子)を用いた再生療法(リグロス®)

歯肉移植術

歯周病によって歯肉が退縮し、歯根が露出して審美性が損なわれたりした場合に、他の部位の歯肉(主に口蓋)から採取した歯肉を移植して、歯肉を回復させる手術です。結合組織移植術や遊離歯肉移植術などがあります。

歯肉切除術(歯冠長延長術を含む)

過剰な歯肉が存在し、歯周ポケットが深くなっている場合や、審美的な改善を目的として歯肉の一部を切除する手術です。

3. 全身疾患との関連への対応

歯周病は、糖尿病、心臓病、脳卒中、がん、誤嚥性肺炎、早産、骨粗鬆症など、様々な全身疾患と関連していることが明らかになっています。特に糖尿病は、免疫力が低下しているため、歯周病が重症化しやすく歯周病が悪化すると血糖コントロールが難しくなるという悪循環に陥ります。そのため、全身疾患を持つ患者様に対しては、医科との連携が大変重要になります。必要に応じて、主治医と情報共有を行い、連携して治療を進めることで、全身の健康状態の改善にも寄与します。

歯周病治療後のメインテナンス(SPT:Supportive Periodontal Therapy)

歯周病は慢性疾患であり、治療後も再発のリスクが存在します。そのため、治療によって改善された良好で健康な口腔状態を維持するためには、継続的なメインテナンスが絶対不可欠となります。

• 定期的な歯科検診: 症状の有無にかかわらず、必ず3~6ヶ月に一度程度の頻度で歯科医院を受診しましょう。
• 口腔衛生状態の確認: 歯周ポケットの深さ、出血の有無、排膿の有無、歯の動揺、プラークや歯石の付着状況などを定期的に検査し、再発の兆候がないかを確認します。
• プロフェッショナルクリーニング(PMTC): 日常の歯磨きでは除去しきれないプラークや歯石、バイオフィルムを歯科医師や歯科衛生士が超音波スケーラー等を用いて除去します。
• プラークコントロールの再指導: 患者様自身の口腔内セルフケアを確認し、必要に応じて歯磨き方法を確認し必要があれば歯の磨き方の再指導や、新たな口腔ケアグッズの紹介を行います。
• フッ素塗布: 歯質の強化やむし歯予防のためにフッ素塗布を行うこともあります。
• 咬合調整: 歯周病が進行するとかみ合わせの力による歯周組織への過度な負担(咬合性外傷)が生じることがあります。必要に応じて、かみ合わせの調整(咬合調整)や、ナイトガード(マウスピース)を装着する場合があります。

メインテナンスは、歯周病の再発を防ぎ、長期的な口腔の健康を維持するために管理し、維持していく最も重要なステップです。患者様自身が積極的にリコール等のメインテナンスに参加し、歯科医療従事者と協力して取り組むことが、歯周病の予防克服には必要不可欠です。

まとめ

歯周病の治療は、歯石を取るだけではなく、患者教育、徹底したプラークコントロール、歯周組織の炎症抑制、そして必要に応じた外科的介入、さらには全身疾患について医科との連携、継続的なメインテナンスが一体となった包括的なアプローチが求められるプロセスです。そして何よりも重要なのがメインテナンスによる再発予防です。歯周病は「治す」より「管理する」病気であり、長期的な視点でのアプローチが求められるため、患者様と歯科医療従事者が連携し、それぞれの役割を果たすことで、初めて歯周病の進行を食い止め、歯を長く健康に保つことが可能になります。早期発見・早期治療、そして予防を意識した日々のケアが、歯周病から歯を守る鍵となります。

当院では、歯周病についての小冊子をご希望の方に無料で差し上げております。
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